2012/04/29

停電に備えて

停電は以前よりかなり少なくなったようだが、やはり乾季の終わりには停電がある。日本では停電になるかもしれないと言っただけで大騒ぎになるが、停電の多い国ではそれほど大きなニュースではない。もちろん自家発電の燃料代が嵩むし、生活活動がかなり制限されるので、停電と聞くとミャンマー人でも毎回うんざりするし、停電で電気が消えた瞬間、街中から「あぁ・・・」と落胆の声がいつも聞こえてくるのだが、停電に備えることもしている。

昨年泊まった2つ星か3つ星レベルのホテルでは電気の配線を通常電源の時と自家発電を運転中の時と使い分けていたようだ。私が部屋で休んでいるといつものように突然、停電になったが、すぐに自家発電が作動し明かりがもどった。しかし、部屋の中の照明やコンセントで通常電源の時は使えたのに、自家発電の運転時は使えないものがあった。自家発電時は最低限の明かりとコンセントで我慢してくださいということだ。

ホテルの中だけではなく、市内の送電も優先するエリアと、そうでないエリアがある。言うまでもなくVIPが住んでいるような場所は優先エリアである。ミャンマーでアパートを借りる際はまず、そこの送電網が優先エリアなのか、そうでないかを確認する必要がある。これを確認せずに、不幸にも送電を優先しないエリア、というか、停電を優先するエリアかと思うぐらい、電力が少なくなると直ぐに停電するエリアに住んでしまうと、かなり厳しい生活を送ることになる。

日本では当たり前のことでもミャンマーではそうでないことがたくさんある。しかしそれはそれで、新たな発見として楽しむ余裕も持っていたいものである。

2012/04/27

ヤンゴンの電力事情

4月26日付のミャンマータイムズ(インターネット、ミャンマー語版)によると、ヤンゴン管区の工場地帯以外は電力供給を24時間とするが、印刷業のような小規模事業者は夕方5時から夜11時は電気を使用できないとヤンゴン市電力供給局が4月23日に伝えたらしい。工場地帯は2つのグループに分けられ、1つは朝6時から朝11時まで、もう1つは朝11時から夕方4時まで電力を供給するとのことだ。

また、ヤンゴン市電力供給局は4月1日からヤンゴン管区内に電力の輪番供給(すなわち計画停電である)を行ってきたが、4月9日より工場地帯を除く市内の居住区へは電力を再び24時間供給しているとも伝えている。

ミャンマーでは恒常的な電力供給不足を補うため、自家発電が欠かせない。工場でもホテルでも、商店でも、停電になるとあちこちで発電機を回し始めるので急に街中が騒々しくなる。電力不足はかつてからのことではあるが、石油価格が高騰する中、特に工場地帯のこの電力供給量ではどこもコスト高となり、厳しい運営を強いられるに違いない。

また記事には、今年3月の状況でヤンゴン管区の電力需要は750メガワットで、昨年より19%増加したとあり、全国の電力需要は現在のところ約1,600メガワット、昨年は1,400メガワット足らずであったとある。ヤンゴンだけで全国の電力需要の約半分を占めているようである。

参考までに東京電力の電気予報では本日の予想最大電力が3,510万キロワットであった。すなわち35,100メガワットである。ミャンマー全国の電力需要が1,600メガワットというのは人口約6,000万人を抱えるミャンマーにとっていかに少ないかが分かるが、それでも十分に供給されていない。

ミャンマーでは隣国の中国やタイなどがミャンマー国内に発電所を作り自国に送電する際、一部の電力をミャンマー国内に供給するという契約をしているが、記事ではその国内供給分を増やすよう要望したり、天然ガスによる発電も準備していると伝えている。

このところ経済的にも急に注目を浴びだしたミャンマーではあるが、このような記事を目にすると電力供給量を増やすことは急務だと実感する。

2012/04/25

あいさつ:ごはん食べた?

ミャンマーでの日常のあいさつは「タミン サー ピー ビー ラー?(ごはん食べた?)」である。というと、私が書いた本に「こんにちは」は「ミンガラバー」と書いてあるとクレームを受けそうだが、一応あいさつの項目には「ごはん食べた?」も入れてある。

実際のところミャンマー人どうしで「ミンガラバー」と言い合っているところを見た覚えがない。「ミンガラバー」はいわば外国人用に作られた言葉である。だから、ミャンマー人は外国人に対しては「ミンガラバー」と言うし、外国人が「ミンガラバー」と言っても違和感がない。しかし、ミャンマー人どうしではどうもしっくりこないようだ。

ミャンマー人と親しくなってくると、「ごはん食べた?」とあいさつされるようになってくる。そこで心得ておかなければならないことがひとつある。ミャンマー人にとって「ごはん」とは「コメ」だということである。日本も昔はそうだったかもしれないが、今の日本人にとってはラーメンやサンドウィッチ、フライドチキンはれっきとした食事、「ごはん」に入れていいものである。しかし、ミャンマー人にとっては違う。これらはすべて「おやつ」であり、小腹を満たす程度、軽食としての地位しか与えられていない。確かにミャンマーの麺類は量が少なめのものが多いが、いくら何でもフライドチキンはヘビーだろう。しかし量や腹持ちの問題ではなく、要は「コメ」を食べたかどうかで「ごはん」を食べたかどうかが決まる。

「ごはん食べた?」と聞かれて、「フライドチキンを食べてきたよ」と言おうものなら、「あら、まだごはん食べてないの?」なんて返事が返ってくる。もし相手が食事中の会話なら、「食べていく?」と「ごはん」を勧められるかもしれない。私の場合、「コメ」を食べてないのに「ごはん食べたよ」と言うのも何となく心苦しいので、「フライドチキンを食べてお腹いっぱい」だとか、「お昼ごはんにサンドウィッチを食べてきたよ」とか答えている。しかしこういう返事が多いと、この人は「ごはん」を食べないのかとミャンマー人は心配になるらしい。

こういうややこしい遣り取りを考えると、「ミンガラバー」は外国人にとって、とても便利な言葉かもしれない。

2012/04/22

ミャンマーの正月:ダジャン

毎年この時期になると思うが、ミャンマーの正月は長い。2012年の公休は4月12日から4月20日。土日を含めると11日間もある。当然のことながらその前後はミャンマー人の気もそぞろとなり、2週間ぐらいは正月モードが続いて仕事にならない。仕事を別にすれば、どーんと休めるのだから何とも羨ましい限りだ。

ミャンマー語で新年は「Thingyan」。「ティンジャン」と書くが通常「ダジャン」という。新年の祝いは、いわゆる水祭りとか水掛け祭りというものだ。タイでは「ソンクラーン」である。水祭りときくと日本人は仏教国の何やら涼しげで厳かなお祭りかと想像するかもしれないが、ミャンマーのダジャンはけっこう激しい。だから私はダジャンの時期はできるだけミャンマーにはいないようにしている。

ダジャンが始まる何日か前から目抜き通りに舞台が設営され始め、舞台ができ上がるとともにミャンマー人のダジャン気分は最高潮に達していく。一方、私の恐怖も最高潮に達するのだが・・・。

そしてダジャンがやってくると、その舞台から観衆や道行く人を目がけて消防用かと思われる巨大なホースで勢いよく水を掛けまくるのだ。あの水圧はかなりのものに違いない。もちろんその舞台からだけでなく、街の至るところ、上から横から、正面から、車から、知り合いだろうが、見ず知らずだろうが、ともかく水を掛けまくる。みな頭からずぶぬれだ。

このダジャンの時期、ミャンマーでは暑さと乾燥が最高に達している。ミャンマーの電力を支える水力発電所のダムの水量が少なくなり、停電が頻発するのもこの乾季最後の時期である。だから、この恐ろしいまでに水をふんだんに使ったお祭りは何とも贅沢ともいえる。

そしてダジャンで水を掛けまくったあと、何日かするとだんだん空が暗くなり始め雨季が始まる気配を感じる。そしてまた半年も続く長い雨季がやってくる。