2012/05/30

ヤンゴンのゴミ事情


今年の4月1日からヤンゴン市では家庭から出る一般廃棄物について分別収集を始めている。方法は乾いたゴミと湿った(水分を含む)ゴミに分け、それぞれ決った色のゴミ袋に入れて収集場所に捨てるというもの。それぞれに色付けされたゴミ袋は有料だ。この分別収集方法が始まって2ヶ月ほど経ったが、状況が伺える記事が国営紙(Myanmar Ahlin、ミャンマー語版529日付に載っていた。

環境維持・清掃局がメディアに説明したところによると、色付けされたゴミ袋で乾いたゴミと湿ったゴミに分別廃棄するシステムは期待以上に上手く行っているとのこと。

収集場所に正しく分別袋に入れて捨てられるゴミは徐々に増えてきており、430日においては924回の収集のうち、正しく分別された袋が含まれていたのが70回(7.57%)だったのが、524日には28.52%になったそうだ。

但し、ゴミ袋の料金を負担に思い、繁華街のゴミ収集場所や少し離れた場所へ清掃時に捨てに来る人、他人の家の前に夜人気のないときに捨てる人、裏路地や溝に捨てる人がいることも認めている。

ある住民は、このシステムになってゴミが以前より3分の1に減り、減った分はゴミ袋を買いたくない人が人気のないところに捨てたり、34日溜めて袋を一杯にしてから捨てているからだと話している。

また、このようにゴミが投棄されると雨季になって溝が詰まり、ネズミやハエが発生する。ゴミ収集場所ひとつだけをとって上手く行っているとは言えないと指摘する声も載せている。

2012/05/29

電力事情:売電価格


最大都市ヤンゴンでは毎日6時間停電、マンダレーではその3倍ともいわれる停電に市民は先週デモに訴えたようだ(ミャンマー・タイムズ25日付、インターネット、ミャンマー語版)。電力不足の解消は外国からの投資に期待したいところだが、それほど投資案件が集まってくる状況でもないらしい。

ミャンマー・タイムズ(インターネット、英語版)28日付によると、第2電力省情報として、住宅向け電力小売料金が単位あたり35チャット(約3.5円)のミャンマーにおいて、発電への投資に興味を示す外国企業は少ないとのこと。多くの国内、外国企業は電力供給設備と発電の民営化への投資について政府にアプローチしてくるが、これまでのところそれらは政府資金の貸付を申し出るだけだったという。

ミャンマーで電力省は2つに分かれている。第1電力省が電力生産と水力発電事業の管理を担い、第2電力省は発電と送電、販売を担う。因みにエネルギー省は天然ガスを外国に販売している。

2電力省は第1電力省から単位あたり20チャット(約2円)で買取り、住宅用顧客に35チャット(約3.5円)で販売している。その15チャットの差額では省の運営費を賄うのに十分ではないとのこと。

最近、電力料金が上がったが、それでも発電事業の収支は投資に見合わないのだろう。

記事によると国内には現在、18の水力発電所と1つの石炭火力発電所、10の天然ガス火力発電所があり、水力発電所の最大発電能力は1,270MWだが、暑季(乾季)はダムの水位が下がるため1,000MWしか発電できない。天然ガス火力発電所は更に340MWの追加発電が可能とある。

電力省の数字では、送電網のない地域が多くあるが、雨季のピーク使用量は平均1,450MWで、暑季は1,850MWに増加する。今年、需要が15%増加しているが、その需要を500MW下回っているとしている。

2012/05/28

映画館


ミャンマーの映画館には3つのタイプがある。ミャンマー映画専門と洋画専門、インド映画専門である。インド映画はよく分からないが、洋画はけっこう新しい作品が上映されている。

たとえば先週末、洋画専門の映画館では、『バトルシップ(Battleship)』(US/2012.5)、『タイタンの逆襲(Wrath of the Titans)』(US/2012.3)、『龍門飛甲(Flying Swords of Dragon Gate, 3D)』(香港/2011.12)が上映されていた。『龍門飛甲(Flying Swords of Dragon Gate, 3D)』は2011年の作品だが、3D映画館がヤンゴンにできたのが今年3月になってからだから仕方ない。

映画館の入場料は3D映画館は少し高めでセット料金2,5003,500チャット(約250350円)ほど。3Dでない洋画の映画館で座席の種類にもよるがだいたい2,000チャット(約200円)程度。ミャンマー映画はもう少し安い。この入場料金もこの数年で急激に上昇している。

ところで映画館の友といえば日本ではポップコーンと飲み物という感じだが、ミャンマーではヒマワリの種だ。映画館のあの暗闇の中、ミャンマーの人は実に器用にあの小さい種の殻を口で剥いて食べる。私も初めのころは、ヒマワリの種を食べると映画の内容に集中できなくなるので諦めていたが、食べ慣れてくると暗闇でもけっこう食べられるものだ。

ヒマワリの種の味付けもいろいろあるが、私が好きなのはガーリックロースト。香ばしい香りとカリカリのガーリックがたまらない。映画が終わって明かりが点くと、椅子の下はどこもヒマワリの種の殻でいっぱいだ。

2012/05/24

ミャンマーの交通:バスとタクシー


ミャンマーは車社会だ。ヤンゴン市内には環状線も走っており、ヤンゴンから中部の商都マンダレーや仏教遺跡で有名なバガンに行く長距離列車などもあるが、市民の足はもっぱらバスだ。バスは近距離、長距離とも便が多く、路線も多い。

ヤンゴン市内を走るバスは、かつてはピックアップトラックの荷台を改造したものや古くてボロボロの大型バスに、ぶら下がらんばかりに人が大勢乗っているものしかなかった。僧侶や女性、年寄り子供は中の方に入れてくれ、座らせてもくれるが、乗るのも降りるのも人が多くて大変だった。しかし最近は快適なバスもある。「Aircon Bus」は何年か前に登場し、それほど人を詰め込まないので、たいていは座れるし、乗り降りも楽だ。料金も他と比べて割高とはいえ200チャット(20円)ほどだ。


古い車両は昨年から実施している政策により徐々に新しい車両に入れ替わっているので、いつ壊れてもおかしくないような古いバスはだんだん姿を消し、快適さも向上すると思われる。

経済的で快適な「Aircon Bus」バスだが、外国人にとって困ったことに、車体の行き先表示はミャンマー語で書かれている。路線を示す数字も丸っこいミャンマー文字で書かれている。なのになぜか「Aircon Bus」だけが英語だ。そもそもバスに外国人が乗ることを想定していないから、英語で書かれた路線表や、車内案内といった類のものもない。バスがバス停に止まると待っている人に向かって車掌が行き先を叫び、車内では車掌が次のバス停を告げるだけだ。そこで拙著『旅の指さし会話帳44ミャンマー』の出番だ。親切なミャンマー人のこと、誰かにどれに乗ればよいかを尋ねれば教えてくれるし、車掌に降りたい場所を告げると降りるバス停で教えてくれる。

そんなタフな移動はしたくないならタクシーだが、ミャンマーでは乗る前に金額交渉が必要だ。近ごろはメータータクシーも出てきたが、実際にメーターを使っていないことも多く、結局は交渉が必要となる(やはり拙著の出番!)。だいたいの距離や相場が分からないと交渉しにくいので、現地の方に参考金額を聞いておくことをお勧めする。タクシーのドライバーはこっちが外国人で土地勘がないと思うと少し吹っかけてくることも多い。とはいってもバカ高く吹っかけてくるわけではないので、その金額でいいならそれもよし。相場の金額でちょっと交渉してみたいなら交渉するもよしだ。

何れにしろ、自分で移動するにはミャンマーの方と会話することになる。それもまたミャンマー旅行の楽しいところだ。

2012/05/23

電力事情:12.5.22国営紙


ミャンマーの電力不足は慢性的だが、522日付ミャンマー国営紙Myanmar Ahlin(ミャンマー語版)では、電力省情報として暑季の電力不足の説明と今後の発電所建設計画について報じている。

記事によると、今年の暑季は非常に暑く、各地で電力需要が伸びたため1,850メガワットの需要に対し、供給が1,340メガワットしかなかった。そのため国民を3つのグループに分けて輪番送電をおこなっていた上に、519日に起きたシュエリー発電所の送電線トラブルで200メガワットの発電量減少が加わり、供給能力が約1,100メガワットとなってしまったと説明。そのため国営の製鉄所やセメント工場、化学肥料工場や民間企業の電力使用量のうち500メガワットをカットし、国民に優先して電力を供給したとある。

参考までに本日の東京電力の電力使用見通しだけで3,470kW34,700メガワットである。

今後の計画として、短期計画ではアメリカのジェネラル・エレクトリック社やキャタピラー社と協力しており、長期計画ではヤンゴン市近郊に日本の電源開発(J-Power)と共同で600メガワットの発電が可能な石炭発電所を4つ、韓国のBKB社と協力し500メガワットの発電が可能な天然ガス発電所を4つ建設する計画があると説明し、記事の最後には国民に対して停電への理解と節電の協力を呼びかけている。

2012/05/19

ヤンゴンで工場の賃金も上昇

ここ最近、投資先として注目が集まっているミャンマーだが、物価の上昇とともに、賃金も上昇している。ミャンマータイム(インターネット・英語版)14日付によると、ヤンゴンの韓国系ウィッグ(かつら)工場で2日間のストの結果、賃上げの合意に至ったとのことだ。

当該工場の従業員は18,000人で、ウィッグを中国、韓国、日本に輸出している。5月9日と10日の2日間、1,000人あまりの従業員が職業紹介所の前で座り込みのストを行ったそうだ。

労働者の以前の賃金は基本給8,000チャット(約800円)で、日当、残業、ボーナスなどを合計すると月給35,000から65,000チャット(約3,500から6,500円)だった。今回の合意により、基本給が30,000チャット(約3,000円)、諸手当を合計すると月給100,000チャット(約10,000円)になるという。

数ヶ月前にもヤンゴンの台湾系靴工場でストがあり、裁判の結果、賃上げに至っている。このところストによる賃上げのニュースが多い。

2012/05/16

男も女も巻きスカート

近ごろテレビの映像でミャンマーのことが流れることも増えてきたが、皆さんはお気付きだろうか?ミャンマーの人は女性だけでなく、男性もスカートのようなものを穿いている。それはロンジー(正確な発音は「ロウンジー」)といい、とくに男性用は「パソー」、女性用は「タメイン」という。形状は至って簡単で、一枚の布を筒状に縫っただけのものだ。

穿き方は筒の中に入り、男性の場合は両端を持って広げ、その端同士をお腹の前で結び、一方の端をお腹の中に入れ込むだけ。女性の場合は同じく筒の中に入るが、巻きスカートのように右か左のどちらか一方に寄せてきつく巻き付け、端を腰のところで入れ込むだけだ。熱帯で1年の半分は雨季といった非常に蒸し暑いミャンマーにおいて、このロンジーはとても涼しく心地よい。ミャンマーで暮らす日本人男性も愛用している方がいるくらいだ。

しかし、穿き方が至って簡単であるがゆえに、ずり落ちたり、着崩れないようにするには慣れと経験が必要だ。とくに女性用のタメインは男性のようにきつく結ぶことができないため、腰元が緩みやすい。その上、足のくるぶし辺りまである長い巻きスカートは足捌きが悪い。外の道もデコボコで歩きにくく、凹みを避けようとするとつい大股になってしまう。また、椅子に座ったり立ったり動作が多いと、いつの間にか腰元が緩んできてしまうものだ。かくいう私もまだまだ修行の身である。

ミャンマー人を見ていて、なぜこの簡単な筒状の布をあんなに綺麗に着こなせるのかといつも感心する。日本の着物と同じで、綺麗に着こなしている人を見ると気持ちのよいものだ。逆に、少しでも着崩れているとみっともないと感じるのはミャンマー人も同じである。だからロンジーを着るなら綺麗に着こなしたい。

ロンジーは既製品ではなく、布屋で生地を買い、縫製店で自分のサイズにぴったり合うように縫製してもらう。女性用のタメインは縫製の際に、腰のくびれに沿うようにダーツを入れ、腰にあたる部分に別の布を縫い付けたりするが、それだけで着崩れを防げるものではない。

そこで、ミャンマー人の若者用に開発されたのか、外国人用に開発されたのかは定かではないが、スカートタメイン(発音は「スカッ タメイン」)たるものが開発されている。これは西洋の巻きスカートに似ており着崩れることがない。もし皆さんが試しにタメインを着て街を歩いてみたいなら、初めはスカートタメインから入ることをお勧めする。

ロンジーにはいろんな種類の生地や模様がある。男性用、女性用で異なるのはもちろんのこと、民族や地方によっても異なる。また、普段着用や冠婚葬祭用などがあり、それぞれ特徴があるので、いろんな布屋を梯子しながら見て回るだけでも楽しい。布屋があるところの近くには必ず縫製店がある。見当たらなければ布屋が紹介してくれる。気に入った生地を見つけたらぜひ1着仕立ててみよう。

2012/05/14

空港で商用ビザの取得が可能に

ミャンマータイムズ(インターネット、ミャンマー語版)5月11日付によると、6月1日より商用目的でミャンマーに入国する人に対し商用のアライバル・ビザを発行すると、入国管理人口省大臣から発表があったそうだ。商用のアライバル・ビザの取得は40米ドルで、70日間の滞在が可能とのこと。

商用ビザの滞在日数は現在と変わりないが、空港で商用ビザを取得できるとなると格段に便利になる。ミャンマーとしては商用ビザ取得を便利にし、投資やビジネス客を呼び込みたい意向だろう。アライバル・ビザは以前からあるにはあったが、取得条件に制限があり、度々中止や変更されたりで、日本からミャンマーを訪れる際は日本のミャンマー大使館で事前にビザを取得してから渡航することになっていた。東京品川の大使館に訪れて手続きをすると数日で取れるが、郵送となると10日ほども掛る。それが、空港に到着してから取得できるのはありがたい。また、手続き費用も商用のシングルで現在4,500円かかるところが40米ドルとなるので、現在の為替レートだと安くなる。

記事によると、商用ビザに続いて順次、観光ビザ、その他のビザもアライバル・ビザにするとある。まず第一段階として、商用のアライバル・ビザを早急に進め、投資家、大使館のある国、政治問題がなく、その他安全と思われる場合、許可する。また第二段階では、オンラインでビザを発行するとある。ミャンマー大使館のウェブサイトにはまだ何も出ていないため、具体的な申請書類や詳細は分からないが、6月1日以降に入国される方は確認の必要がある。

今回、商用ビザの取得が便利になってありがたいが、更なる希望をいえば日本人のビザなし渡航を認めてほしい。段階を踏んでからということだろうか。

2012/05/11

ミャンマー式喫茶店

最近はミャンマーでもお洒落なカフェが増えてきたが、今でも昔ながらの喫茶店は多い。ミャンマーの喫茶店では注文方法が独特だ。席に着いたらともかく飲み物を注文するだけでよい。ちょっと小腹が空いていてもである。というのも包子やサモサ、ミートパイにパン、ケーキなどを店員が持ってくるからだ。黙っているとたいていはそれらをテーブルに置いていく。中国の包子とインドのサモサ、西洋のケーキなどがテーブルに並び、ここは一体どこなのかと不思議な感覚になるかもしれない。しかしこれが中国とインドに挟まれ、イギリスの植民地を経験したミャンマーならではの光景だ。

ここでテーブルに勝手に並べられた国籍豊かな食べ物に戸惑って思わず、注文していないから下げてくれなどと文句を言ってはいけない。食べたくなかったら手を付けなければよいだけだ。ミャンマー流では食べた分だけ支払うことになっている。言葉が不自由な外国人にとっては非常にありがたいシステムだ。目の前に美味しそうなものを並べられると、食べるつもりではなかったのについ手が出てしまうのが人情である。ミャンマー流ではそれを狙っている。実に商売上手だ。

ところで飲み物はどういうものがあるのかというと、熱い紅茶かコーヒー、もしくは冷たいソフトドリンクが一般的だ。全て甘い。ミャンマー式の紅茶は練乳入りの紅茶で、「ラペッイェー」という。小さなガラスのカップに練乳をたっぷり入れ、濃く煮出した熱い紅茶をその上から注ぐ。テーブルに運ばれてくる時は練乳と濃い紅茶が二層になっている。それを客が自分で混ぜていただく。混ぜ方によってある程度は甘さを調節することが可能だ。もちろん最初から練乳を少なく入れてもらうこともできる。その場合は「チョーボ」と言おう。

コーヒーも細挽きにして濃く淹れ、砂糖や練乳をたっぷり入れて飲む習慣があるが、喫茶店ではインスタントを出すことが多い。インスタントといっても、最初からインスタントコーヒーとクリーミーパウダー、砂糖がひとつのパックに入ったものが一般的だ。当然のこと甘党のミャンマー人の味覚に合わせているから、かなり甘い。そのパックとお湯の入ったコーヒーカップが運ばれてきたら、自分でパックを開け、お湯に溶いて飲む。これはあまり情緒がないのと、甘さが調節できないので、コーヒー党の私もミャンマーではもっぱら「ラペッイェー」党になる。

テーブルで「シンメー(お勘定)!」言うとお勘定してくれる。飲み物と誘惑に負けて食べた分を支払えばよい。心配しなくても、どんなに混んでいても店員は誰が何を食べたかをよく憶えているものである。だからテーブルに並べられたものは遠慮せずいただこう。

2012/05/09

ミャンマー料理:ミャンマーカレー

ミャンマー料理とはどんなものか?よく受ける質問だが、なかなか明瞭には答えにくい。理由は大きく2つある。ひとつはミャンマーが135民族もいるといわれる多民族国家で、それぞれ全く異なるわけではないが、微妙な違いがありミャンマー国の料理として幅が広いこと。もうひとつは大食文化圏である中国とインドの影響を受けていることに加え、華僑や印僑は独自の食文化を守っているため、食文化が混在していることである。

その中でも代表的な料理はミャンマーで約7割を占めるビルマ族の料理で、カレーが中心となる。ここでは便宜上ミャンマーカレーと呼ぶが、このミャンマーカレーはインドカレーともタイカレーとも異なり、両方を足して2で割ったような感じというか、インドのカレーがミャンマーを通ってタイへ渡ったと想像した方がいいかもしれない。ミャンマーカレーは、ほんのりインドカレーのような香りがする、ニンニクと生姜、玉葱がたくさん入った魚醤系の味で、それほど辛くはなく、タイカレーのように多量のココナッツミルクを使ったさらさら系ではない。写真のように、インドカレー以上に具と油が多いカレーといった感じである。


家庭で作るカレーはそれほど油は多くないが(とはいっても日本人の感覚では多いのだが・・・)、店で食べるミャンマーカレーの油の量は半端ではない。たいてい油の層ができている。ミャンマーカレーで油を多く使うのは、暑く電力も不確かな状況で傷まないようにするためらしい。またお店のカレーで油が多いのは、かつて油が多いことイコール贅沢という感覚があったからのようだ。この油の多さを抜きにすれば、味は日本人に親しみやすく、とても美味しい。ご飯が進み、一度食べるとまた食べたくなる味だ。

そしてそのミャンマーカレーと一緒に食べるのが茹で野菜である。小ナスやオクラ、竹の子、ニガウリ、菜っ葉類など季節の野菜を茹で、「ンガピ」という小エビの塩辛でつくったタレにつけて食べる。さすがにこれはあっさりしていて、日本人にはありがたい。そのほかスープや中華のような野菜炒めなども一緒に食べる。


ミャンマーカレーは日本で提供する店も少ないが、ミャンマー国内でもそれほど多いとはいえない。最近は少し増えてきたが、かつては家庭で食べるものという感覚があり、ミャンマーカレーの外食店は数が限られていた。街で見かける飲食店で多いのは、中華料理、インド料理、シャン料理(シャン族の料理で、シャン州は中国国境に接しているため中華料理に近い。油が少な目であっさりした味付けが多い)である。最近は少数民族の料理を集めたカジュアルな飲食店もできているので、ミャンマーに行かれる方はミャンマー料理の幅の広さをぜひ体感していただきたい。

2012/05/06

TBSの「世界ふしぎ発見」で

昨夜、TBSの「世界ふしぎ発見」でミャンマーが取り上げられていた。最近になってようやく政治以外に経済や紀行、バラエティーでも取り上げられる機会が増えてきて、ミャンマーに関わるものとして、とても嬉しく感じている。たまに情報として、おや?と思うところもないことはないが、これまで政治にばかり偏っていた状態から比べるとずいぶん良くなってきた。

ちなみに昨夜の番組で気になったのは「食べるお茶」のところである。とくに発酵させた茶葉と野菜を和えたサラダというか、和え物のようなものは、番組では「ラペソー」といっていたが、正しくは「ラペットウッ」である。「ラペッ」は茶葉、「トウッ」は和える意味で、さしづめお茶の和え物とかお茶サラダとでもいったところである。番組は地方のロケだったので、もしかしたらそこの少数民族がそう呼んでいたのかもしれないが、ミャンマー語としてはやはり「ラペットウッ」である。

それから、その「ラペッ」をお茶の漬物といっていたが、漬物というとどうも塩分と酸味の利いた食べ物を思い起こすのだが、それは私だけだろうか?おそらくパッケージに英語で「pickle」と書いてあったりするので、漬物という訳に至ったのかもしれないが、私の感覚では漬物というよりむしろ油漬けといった感じで、発酵した茶葉がべっとり油にまみれており、酸味はない。苦いタイプと苦くないタイプがあり、和え物にする以外に、お茶請けとして野菜は入れずに胡麻や揚げた豆などを混ぜて食べる。私はこれが好きで、おじゃました家で出てくるとついつい手が伸びてしまう。

ところで昨夜の番組にもでていたが、あの「ふりかけ」はとても美味しい。「バラチャウンヂョー」といってとても香ばしく、家で作ったのは格別だが、最近ではミャンマーのスーパーなどで量り売りもしてくれる。ミャンマーのふりかけは種類も多く、番組にあった乾しエビのもの以外にも、カリカリのジャガイモが入ったものや、乾燥納豆がはいったもの、唐辛子がたくさん入って辛いもの、辛くないものなどいろいろある。量り売りのところではおそらく味見させてくれるので、ミャンマーに行かれる方はぜひ試していただきたい。日本の白いご飯にも合うこと間違いなしだ。

2012/05/01

ミャンマードラマ(ミャンドラ!?)

4月30日付のミャンマータイムズ(インターネット、英語版)の記事によると、フランスの協力を得て国営テレビ局が近年初となる国産の連続テレビドラマを作成し、4月30日から放送を開始するとのことだ。

ミャンマーのテレビでも人気があるのは韓流ドラマだ。韓流スターがミャンマーにやって来るとなると、街中はみな大騒ぎである。十数年前ぐらいまでは日本のドラマもやっていたが、今では全くない。現在ドラマといえば韓国ものか、中国ものといった感じである。ミャンマーものもテレビで放送はしているが、かなり古いものであったり、テレビドラマとしてではなく、映画として作られたようなものが殆どだったように思う。

映画といってもミャンマーの技術は国際レベルからはかなり劣っている。映画館の方は老舗の映画館以外にショッピングセンター内に新しくできたり、先日は3D映画館もできたらしいので、それなりの進歩をしているが、製作側はまだまだである。まず機材が古い。ともかく画質が粗い。台詞も音も現場で録音したものを使うから、音質が悪く聞き辛い。しかも撮影スタジオがなく(現在、建設計画があるようだが)、一軒家を借り切って撮るため雑音も入る。あまりけなしたくはないが、正直いって観ていて疲れる。

こんな惨憺たる状態だったので、この技術的にフランスの協力を得た連続ドラマはぜひ観てみたい。記事にストーリーについての記述はないが、写真に女優がコンバウン期のプリンセスの姿で写っていたので王朝物語なのかもしれない。楽しみである。