2012/05/16

男も女も巻きスカート

近ごろテレビの映像でミャンマーのことが流れることも増えてきたが、皆さんはお気付きだろうか?ミャンマーの人は女性だけでなく、男性もスカートのようなものを穿いている。それはロンジー(正確な発音は「ロウンジー」)といい、とくに男性用は「パソー」、女性用は「タメイン」という。形状は至って簡単で、一枚の布を筒状に縫っただけのものだ。

穿き方は筒の中に入り、男性の場合は両端を持って広げ、その端同士をお腹の前で結び、一方の端をお腹の中に入れ込むだけ。女性の場合は同じく筒の中に入るが、巻きスカートのように右か左のどちらか一方に寄せてきつく巻き付け、端を腰のところで入れ込むだけだ。熱帯で1年の半分は雨季といった非常に蒸し暑いミャンマーにおいて、このロンジーはとても涼しく心地よい。ミャンマーで暮らす日本人男性も愛用している方がいるくらいだ。

しかし、穿き方が至って簡単であるがゆえに、ずり落ちたり、着崩れないようにするには慣れと経験が必要だ。とくに女性用のタメインは男性のようにきつく結ぶことができないため、腰元が緩みやすい。その上、足のくるぶし辺りまである長い巻きスカートは足捌きが悪い。外の道もデコボコで歩きにくく、凹みを避けようとするとつい大股になってしまう。また、椅子に座ったり立ったり動作が多いと、いつの間にか腰元が緩んできてしまうものだ。かくいう私もまだまだ修行の身である。

ミャンマー人を見ていて、なぜこの簡単な筒状の布をあんなに綺麗に着こなせるのかといつも感心する。日本の着物と同じで、綺麗に着こなしている人を見ると気持ちのよいものだ。逆に、少しでも着崩れているとみっともないと感じるのはミャンマー人も同じである。だからロンジーを着るなら綺麗に着こなしたい。

ロンジーは既製品ではなく、布屋で生地を買い、縫製店で自分のサイズにぴったり合うように縫製してもらう。女性用のタメインは縫製の際に、腰のくびれに沿うようにダーツを入れ、腰にあたる部分に別の布を縫い付けたりするが、それだけで着崩れを防げるものではない。

そこで、ミャンマー人の若者用に開発されたのか、外国人用に開発されたのかは定かではないが、スカートタメイン(発音は「スカッ タメイン」)たるものが開発されている。これは西洋の巻きスカートに似ており着崩れることがない。もし皆さんが試しにタメインを着て街を歩いてみたいなら、初めはスカートタメインから入ることをお勧めする。

ロンジーにはいろんな種類の生地や模様がある。男性用、女性用で異なるのはもちろんのこと、民族や地方によっても異なる。また、普段着用や冠婚葬祭用などがあり、それぞれ特徴があるので、いろんな布屋を梯子しながら見て回るだけでも楽しい。布屋があるところの近くには必ず縫製店がある。見当たらなければ布屋が紹介してくれる。気に入った生地を見つけたらぜひ1着仕立ててみよう。