2012/05/09

ミャンマー料理:ミャンマーカレー

ミャンマー料理とはどんなものか?よく受ける質問だが、なかなか明瞭には答えにくい。理由は大きく2つある。ひとつはミャンマーが135民族もいるといわれる多民族国家で、それぞれ全く異なるわけではないが、微妙な違いがありミャンマー国の料理として幅が広いこと。もうひとつは大食文化圏である中国とインドの影響を受けていることに加え、華僑や印僑は独自の食文化を守っているため、食文化が混在していることである。

その中でも代表的な料理はミャンマーで約7割を占めるビルマ族の料理で、カレーが中心となる。ここでは便宜上ミャンマーカレーと呼ぶが、このミャンマーカレーはインドカレーともタイカレーとも異なり、両方を足して2で割ったような感じというか、インドのカレーがミャンマーを通ってタイへ渡ったと想像した方がいいかもしれない。ミャンマーカレーは、ほんのりインドカレーのような香りがする、ニンニクと生姜、玉葱がたくさん入った魚醤系の味で、それほど辛くはなく、タイカレーのように多量のココナッツミルクを使ったさらさら系ではない。写真のように、インドカレー以上に具と油が多いカレーといった感じである。


家庭で作るカレーはそれほど油は多くないが(とはいっても日本人の感覚では多いのだが・・・)、店で食べるミャンマーカレーの油の量は半端ではない。たいてい油の層ができている。ミャンマーカレーで油を多く使うのは、暑く電力も不確かな状況で傷まないようにするためらしい。またお店のカレーで油が多いのは、かつて油が多いことイコール贅沢という感覚があったからのようだ。この油の多さを抜きにすれば、味は日本人に親しみやすく、とても美味しい。ご飯が進み、一度食べるとまた食べたくなる味だ。

そしてそのミャンマーカレーと一緒に食べるのが茹で野菜である。小ナスやオクラ、竹の子、ニガウリ、菜っ葉類など季節の野菜を茹で、「ンガピ」という小エビの塩辛でつくったタレにつけて食べる。さすがにこれはあっさりしていて、日本人にはありがたい。そのほかスープや中華のような野菜炒めなども一緒に食べる。


ミャンマーカレーは日本で提供する店も少ないが、ミャンマー国内でもそれほど多いとはいえない。最近は少し増えてきたが、かつては家庭で食べるものという感覚があり、ミャンマーカレーの外食店は数が限られていた。街で見かける飲食店で多いのは、中華料理、インド料理、シャン料理(シャン族の料理で、シャン州は中国国境に接しているため中華料理に近い。油が少な目であっさりした味付けが多い)である。最近は少数民族の料理を集めたカジュアルな飲食店もできているので、ミャンマーに行かれる方はミャンマー料理の幅の広さをぜひ体感していただきたい。